−R5− 世の中を歩き回るブログ

頭を使って歩こう。朝まで歩こう。5年後の自分に向けた備忘録。

右半身ばかり怪我をする話。

来週、肩の手術を受けます。

「右反復性肩関節亜脱臼」に関する「関節鏡視下肩関節制動術」という手術です。

簡単に言うと、脱臼癖がひどいのでそれを治すために手術を受けます。

 

思い返せば、僕は右半身によく怪我をする。

ちなみに、結構痛い表現があります。苦手なひとにはすごく嫌な感じになると思います。面白おかしく話してはいるのですが。

 

あれは中学2年の球技大会の日だった。

自転車通学だった僕は、家を出て数十メートルの下り坂で、派手に転んだ。右ひざは制服が破れて血が出ているし、右手のひらはもはや白い肉が見えるほどすりむいている。それでも「球技大会に遅れてはいけない」という思いだけが頭の中にいっぱいになっていて、振り返れば家が見える距離なのに、僕は30分も自転車を走らせた。たまたま日直だったので職員室に日誌を取りに行くと、ぼろぼろの姿を見た先生は「ヒッ」と小さい悲鳴みたいなものを上げつつも、僕を球技大会に出場させてくれた。何としてもその日の球技大会には出なければいけなかった。競技はバスケットボール。クラス唯一のバスケ部員だった僕は、チームメイトから多大な期待を寄せられていた。しかも、対戦相手のクラスにはバスケ部員が2名もいる。僕が出ないとやばい。無事、試合に出れた僕は期待を裏切る活躍っぷりだった。ディフェンスすれば、痛みが走る右足の踏ん張りがきかずにざるのように相手プレイヤーをどんどんと素通りさせ。オフェンスしようものなら、利き手である右手が包帯だらけで使い物にならず、幼稚園児みたいなドリブルをして相手にカットさせ。無事、相手チームの勝利に貢献し、もはや出ないほうがよかったんじゃないかというほどの貢献っぷりだった。

 

例えば、小学5年生の夏休み。

よくある小学生の宿題で、料理を作りましょうというのがあった。自由研究ならぬ自由料理。調理過程や材料、作るうえで何を学んだかを記録する宿題に、僕は冷やし中華を選んだ。これは、ちょうどいい。野菜を切ったり、彩豊かになる割に、そこまで手間じゃない。しかも、夏らしい。ちょうどいい。ちょうどいい料理だからどんどん進んでいく。麺をゆでて、卵を焼いて、ハムを切って、キュウリをスライスするフェーズに移っていた。今でも覚えている。どんどん薄くなっていくキュウリ。角度をかけたり、スライスするところを変えたり。最後の最後まで使い切ろうとしていた。小学生ながらもったいない精神を兼ね備えた優しい日本人だった。でも、その優しさはいつかあだとなる。それが、僕にとってはこの時だったんだと思う。きゅうりをスライスしたと思ったら、右手に激痛が走った。スライサーの下にたまるキュウリとともに、僕の右人差し指の腹の肉が入っていた。マジかよ。もうこのキュウリ使えないよ。確か最初にこう思った気がする。でも、すぐに痛くて泣きはじめた。夜の総合病院に駆け込んで、当直の先生に処置をしてもらった。冷やし中華は、完成しなかった。夏休みの宿題も。

 

そして、再び小学5年生の夏休み。

指を怪我した僕は、毎週のように病院に通った。少しずつ回復していく様子と、感染病にかかっていないかをチェックしてもらうために。夏休みのほとんどを、指の治癒に費やした小学生にとって、その日は最高の日になるはずだった。やっと右手を包んだ包帯が取れて、最後の診察となる日だったんだ。夏休みものこすところあと数日。右手が自由に使える喜びを、童心ながら感じていた。あの瞬間までは。最後の通院の日。車から降りるとき、僕はドアを閉める。車というのは、ドアがついている。だから、降りた後は当然開いているドアを閉める。それがルールだから。でも、僕は頭が悪いので、乗っていた車から降りて、その車のドアを閉める、という作業も満足にできない。車を降りるために、ドアを開ける。そして、外に出る。最後にドアを閉めるときに、なぜか僕は指を挟んだ。今度は右手の中指を挟んで怪我をした。せっかく治りかけていた人差し指の隣の指は、車のドアにつぶされて爪がはがれかけていた。治りかけからはがれかけだ。僕の悲鳴を聞いた母親は、心配よりもあきれた顔をしていた。その日、いつもの先生に駆け込んだら、心配するどころか笑っていた。「そんなに病院が好きですか」って笑っていた。

 

そんなこんなで、いろいろな節目節目で僕は右半身にけがをしている。この右肩の怪我も、その一つだ。でもその話はまた今度にしようと思う。気づいていないときにすりむいたり、切り傷ができているときもある。あ、あとフットサルで小指を骨折したこともあった。こんな怪我ばかりしているので、本当に何か憑いているんじゃないかと疑ったこともある。これからも右半身の怪我が増えていくかもしれないと思うと、恐怖で足がすくみそうだ。